介護保険を利用するにはどうすればいいの?申請の流れとベッドの購入・レンタルについて
- 更新日:2024-1-19
- 公開日:2023-1-31
在宅介護では、デイサービス利用や介護用品の購入費などさまざまな費用が必要となります。介護保険は、それらの負担を軽減するのに役立つ保険です。今回は介護保険申請からサービスを受けるまでの流れ、介護保険で利用されるサービス内容をご紹介します。
在宅介護では、デイサービス利用や介護用品の購入費などさまざまな費用が必要となります。介護保険は、それらの費用負担を軽減するのに役立つ保険です。今回は介護保険申請からサービスを受けるまでの流れをご紹介します。
知っておきたい介護保険の概要
介護保険とは、端的に言えば介護が必要な方がさまざまな介護サービスを1~3割の自己負担で受けられる保険制度です。この「介護が必要な方」とは、65歳以上で要介護認定を受けた方、40~64歳で特定疾病(関節リウマチなど)と診断された方を指します。
介護保険を申請する際に必要なのが、「要介護認定」です。要介護認定の申請は、市区町村の役所や地域包括支援センターなどで行えます。以下の項では、実際に介護保険の利用を検討している方に向けて、要介護認定の申請から介護サービス利用開始までの流れを紹介します。
要介護認定の申請からサービス利用開始までの流れ
- 要介護認定の申請を行う
- 認定調査が開始
- コンピュータ判定・介護認定審査会
- 認定結果の通知
- サービス利用の開始
申請から介護サービス利用開始までの大まかな順序は、上記の通りになります。自治体によって手続きにかかる時間はまちまちですが、一連の流れが完了するのに、1~2ヶ月ほどかかるのが一般的です。介護保険の利用を希望する際は、時間に余裕をもって申請を行ないましょう。
要介護認定の申請を行う
役所の介護保険課、高齢福祉課、地域包括支援センターで申請を行います。申請には所定の申請書のほか、介護保険被保険証、マイナンバーが確認できる書類が必要です。介護を受ける方が40~64歳の場合、介護保険証ではなく医療保険証で申請します。
なお、本人による申請が難しい場合は、家族や第三者機関(地域包括支援センター等)による代理申請が可能です。代理申請を行う際は従来の書類に加え、委任状や代理人の身元が確認できる書類を提出する必要があります。
認定調査が開始
役所への申請が完了したら、認定調査がスタートします。具体的には、訪問調査と主治医による意見書が作成されますが、この訪問調査とは端的に言えば「介護保険の利用に値するかどうか」を調査することです。ケアマネジャーや市区町村職員が本人宅へ訪問し、心身状態や生活環境を調査します。
同居家族がいる場合は、訪問調査にできるだけ同席する(してもらう)ことが大切です。こうすることで調査員への伝え漏れを防止でき、より客観的に本人と生活環境を判定できます。訪問認定調査で調査される主な項目は、以下の通りです。
訪問認定調査の項目 |
主な内容 |
住まいや家族の状況 |
住環境・家族構成など |
身体機能 |
視力や聴力の調査、麻痺の有無など |
生活機能 |
トイレや歯磨き、着替え、その他生活動作 |
精神・行動障害 |
被害的な感情や情緒の不安定性の有無など |
認知機能 |
自分の氏名、生年月日が伝えられるか、位置に対する認知能力 |
社会性機能 |
金銭管理能力、集団生活能力、薬の服薬、簡単な調理が可能か |
治療の有無 |
過去14日間で受けた透析、点滴、経管栄養など |
参照:認定調査員テキスト2009改訂版(平成30年4月改訂)
訪問調査が完了した後は、主治医や市区町村の紹介する医師の診断を受け、意見書を作成してもらいます。
||||コンピュータ判定・介護認定審査会
訪問調査と主治医の意見書をもとに、コンピュータ判定が行われます。これは一次判定とも呼ばれており、必要項目を全国一律の判定システムへ入力して要介護度の判定が行われる仕組みです。コンピュータ判定が完了したら、福祉や医療の専門家による介護認定審査が実施されます。
||||認定結果の通知
各種判定結果をもとに要介護度が決定され、本人へ通知される仕組みです。判定結果は「非該当(自立・介護の必要がない)」、「要支援1~2」、「要介護1~5」の3つの区分に分けられます。ここでいう要支援とは、端的に言えば「将来的に要介護状態にならないための予防支援が必要な状態」、要介護は「すぐに介護が必要な状態」を指します。
段階 |
受けられるサービス |
主なサービス |
非該当 |
介護予防ケアマネジメント |
市町村の実情に応じたサービス |
要支援1~2 |
介護予防サービス |
介護予防通所介護
介護予防通所リハビリ
介護予防訪問介護など |
要介護1~5 |
介護サービス |
訪問介護
生活介護
短期入所サービスなど |
参照:介護予防・日常生活支援総合事業のサービス利用の流れ | 厚生労働省
判定結果によって受けられる介護サービスは図の通りです。要支援と要介護のどちらにしても、数値が高くなるほど受けられるサービスの内容が手厚くなります。この判定結果によって受けられる介護サービスが異なるため、自身や家族の判定と受けられるサービスをしっかりと把握しておきましょう。
||||サービス利用の開始
判定結果が通知された後は、認定度合いに応じた介護サービスが利用できるようになります。
ちなみに、要介護認定は永続的に使用できるわけではなく、期限付きである点には注意しましょう。判定結果には、新規の場合は6ヶ月、2回目以降の更新認定の場合は12ヶ月の有効期間があります。判定結果は自動更新されないため、市区町村へ更新申請を行う必要があるのです。申請は、有効期限満了日の60日前から受け付けてもらえます。介護認定の有効期限が切れると、介護サービスを新たに受けられなくなったり、自己負担額が増えたりすることもあるため、忘れずに更新申請を行いましょう。
在宅介護で利用できる介護サービス
介護サービスのなかには、在宅介護でも利用できるサービスが用意されています。具体的なサービス例を以下に紹介します。
||||完全在宅で利用できるサービス
- ホームヘルプ(訪問介護)
- 訪問看護
- 訪問リハビリテーション
- 居宅療養管理指導
- 訪問入浴介護
- 随時対応型訪問介護・看護
- 夜間対応型訪問介護
完全在宅でも利用できる主なサービスは、上記の通りです。身体的な介護サービスが受けられる「訪問介護」や、看護師による医療的ケアが受けられる「訪問看護」は心強い存在です。さらに入浴介護やリハビリテーションなども用意されており、在宅であっても幅広いサポートが受けられます。
居宅療養管理指導は、医師や薬剤師、歯科衛生士などの専門職による訪問指導を受けられるサービスです。各分野により特化した専門家の指導を受けられるのが魅力だと言えるでしょう。
随時対応型訪問介護・看護や夜間対応型訪問介護では、1日複数回の訪問サービスが提供されるのが特徴。急な体調の変化にも柔軟に対応しているのがポイントです。
||||自宅から通いで利用できるサービス
- デイサービス(通所介護)
- 小規模デイサービス(地域密着型通所介護)
- デイケア(療養通所介護・通所リハビリテーション)
- 認知症対応型通所介護
自宅から通うことで利用できる主なサービスは、各施設にて食事サービスやレクリエーションサービスを受けられるのが特徴です。このほかにも、「小規模多機能型居宅介護」のように、複数のサービスを組み合わせた複合型の介護サービスも存在します。
||||その他、生活環境を整えるサービス
介護サービスは、利用者の生活環境をより快適にするサービスも少なくありません。以下では、「福祉用具貸与」、「特定福祉用具販売」、「住宅改修」の3つの項目について紹介します。
福祉用具貸与
車いすや介護ベッド、手すりなどの福祉用具をレンタルできるサービスです。要介護1以上の方が対象となり、貸与金額の1割、2割、又は3割の負担で福祉用具を利用できます。
特定福祉用具販売
福祉用具貸与と同じく、要介護1以上の方が対象となるサービスです。ポータブルトイレや簡易浴槽などの特定福祉用具を、購入金額の1割、2割、又は3割の負担で購入できます。
住宅改修
自宅をバリアフリー改修する際、支給限度基準額を20万円として工事費の7~9割を給付するサービスです。要支援1~2、要介護1~5のいずれかに該当し、なおかつ介護保険被保険者証へ記載されている住居に住んでいる方であればサービスの対象者となります。
介護保険が適用されないサービス
要介護度によっては、介護保険が適用されず原則自己負担となるサービスもあるため注意が必要です。
例えば、介護ベッドは要介護2の方であれば介護保険適用内でのレンタルが可能です。ただし要介護1以下の方には介護保険が適用されず、レンタルも不可となります。したがって、原則全額自己負担で介護ベッドを購入、またはレンタルをする必要があるのです。
要支援1~要介護2に該当する方が保険適用内でレンタルできるアイテムは手すりや歩行器、歩行補助杖など一部の用具に限られています。所定の条件(疾病の重篤化が考えられ、その福祉用具が必要だと医学的に判断された方など)に合致すればレンタルが可能となる「例外給付」もありますが、これはあくまで例外的なケースです。
介護ベッドや介護用品を自己負担で購入するメリット
介護ベッドを自己負担で購入すると、レンタルにはないメリットを得られます。例えば、購入であれば自身の所有物になるため、レンタル品とは違い費用負担を気にすることなく長期間使用できます。多少の傷や汚れがついても、他の利用者に気兼ねすることもありません。また、レンタルの介護用具は、基本的に他の方も使用します。殺菌や消毒が徹底されていても、「他の方が使用したものを使い回すのは抵抗がある」という方は少なくないでしょう。自己負担で購入すれば、そういった衛生面の心配も不要になります。
とはいえ購入は、レンタルのように容易に交換ができません。ベッドのように大型の家具であれば、尚更です。介護ベッドを自己負担で購入する際は、長期的な使用を見越して購入しましょう。
末永く使える介護ベッドをお探しの方であれば、「INTIME1000シリーズ」をおすすめします。パラマウントベッドが提供する「INTIME1000シリーズ」は、介護が必要になった際に、介護用ベッドとして使用できる機能を備えた、リクライニング付き電動ベッドです。必要に応じて、手すりやベッド柵など在宅介護に役立つさまざまなオプションが使用できます。詳しくは、パラマウントベッドの新電動ベッド「INTIME1000」についてのページをご確認ください。
今回は、介護保険の利用方法や在宅介護で利用可能な介護保険サービスについて詳しく紹介しました。
介護保険の利用を検討する方であれば、介護保険でカバーできる内容や、利用できる介護サービスの内容を知っておくことが大切です。要介護認定の流れを大まかに知っておくと、いざというときスムーズに行動へ移せます。後になって「このサービスが受けられない」と慌てないよう、事前の下調べをしっかり行いましょう。