快適な睡眠のために、マットレスはいつも清潔に保ちたいものです。しかし、寝汗や寝室の湿気などによってマットレスにカビが生えてしまうことがあります。本記事では、マットレスにカビが発生する原因やカビの種類、その対策についてご紹介します。カビの種類も説明しますので、対策をして清潔で快適な寝室環境を整えましょう。
マットレスにカビが生える原因とは
マットレスにカビが生える主な原因として考えられているのは、「寝汗」です。健康な成人の場合、一晩でコップ1杯分の寝汗をかくとされています。同じマットレスを使い続けることで毎晩寝汗が少しずつ吸収されます。マットレスが湿気を帯びた状態を放置することで、カビが好む環境になりやすいのです。具体的には、カビが好む以下の条件が揃いやすくなります。
||||湿度(60%以上)
カビは、繁殖するのに一定以上の水分(湿気)を必要とします。湿度が60%以上になるとカビの活動が活発になり、湿度が70%を超えるとカビが繁殖し始めます。湿度が80%以上になると、繁殖のペースがさらに増すという性質も。梅雨や夏場にかけて、カビが生えやすくなるのはこのためです。カビの生えたマットレスは見た目にも不衛生なだけでなく、喘息やシックハウス症候群などのアレルギー症状の原因にもなります。
参考:カビ対策マニュアル 基礎編(文部科学省)(https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/sonota/003/houkoku/08111918/002.htm)より加工して作成。
||||温度(20~30℃)
カビは20℃以上で動きが活発になり、25~30℃になると繁殖の勢いが増します。マットレスを使用すると、体温によってマットレスが温められ、カビが好む20℃以上になります。
起床後に「窓を開けてこまめに換気する」、「クーラーや除湿機を使う」といった工夫で室温と湿度を下げるように心がけましょう。
||||栄養分(皮脂、髪の毛、ホコリ、ダニなど)
カビはマットレスに付着したフケをはじめ、髪の毛や垢、ホコリ、ダニなどを養分にして繁殖します。特に、髪の毛やフケに含まれるタンパク質や、皮脂に含まれている脂肪分はカビが好む養分です。目には見えにくいですがハタキや掃除機を使って、これらの汚れやゴミをこまめに取り除きましょう。
マットレスに発生しやすいカビの種類
マットレスに発生するカビは、斑点状のシミのような見た目をしています。これらのカビは、それぞれ「黒カビ」「赤カビ」「青カビ」のいずれかであるケースが多いです。
||||黒カビ
黒カビは、名前のとおり黒い斑点状に現れるカビです。正式な菌名はクラドスポリウム(ウラドスポリウム)といい、マットレスだけでなくキッチンやお風呂場、洗面台などの水回りでもよくみられます。また、穀類・果実・加工食品などの食品類や、皮革・繊維・包装材などにも発生します。
||||赤カビ
赤カビは、エアコンのフィルターやファン、お風呂場のタイルなどによく発生するカビです。菌名はアスペルギルスといいます。湿度が90%以上のところであれば、金属の表面にも発生するカビです。また、食中毒を引き起こすカビ毒の一種「トリコテセン」も含んでいます。
||||青カビ
正式名称は「ペニシリウム」といい、粉を吹いたような灰緑色をしています。生鮮果実をはじめ、野菜や穀類、加工食品などにも発生するカビです。成長や繁殖のペースはやや緩やかで、乾燥に強いのが特徴。また、青カビは肺炎や破傷風などを治療する抗生物質「ペニシリン」の発生源としても知られています。
マットレスのカビを除去する方法
マットレスのカビは、消毒用エタノールや重曹、酸素系漂白剤などを用いて除去できます。ここでは消毒用エタノールと重曹を使ったカビの取り方をご紹介します。ただし、マットレスによっては消毒用エタノールの使用が禁止されている場合があります。事前に取扱説明書を確認の上、カビの除去を行うようにしましょう。
||||消毒用エタノールを使ったカビの取り方
カビはアルコールに弱いため、消毒用エタノールで掃除できます。まずは、以下のものを用意しましょう。
- ・消毒用エタノール
- ・スプレーボトル(エタノールがスプレータイプであれば不要)
- ・ぬるま湯
- ・タオル
- ・ドライヤー
1.カビにエタノールを噴射する
エタノールを市販のスプレーボトルへ詰め替えます。消毒用エタノール自体がスプレータイプであれば、そのまま使います。
カビが生えている箇所に、エタノールを吹きかけます。カビの発生箇所全体が均等に湿る程度まで噴射しましょう。このとき、カビが発生している箇所だけでなく、周辺にも吹きかけることが大切です。このようにすることで、カビの繁殖の予防に繋がります。
2.1時間ほど放置する
3.タオルでカビをふき取る
タオルをぬるま湯に浸して軽く絞り、エタノールを吹きかけた部分のカビをふき取ります。このとき、強い力で無理に擦るのではなく、トントンと優しく叩くようにふくのがポイントです。無理に擦ると、カビが広がってしまうため注意しましょう。
4.ドライヤーで乾かす
タオルでカビをふき取った後は、ドライヤーで乾かします。その後、風通しの良い場所にマットレスを置いて十分に自然乾燥させましょう。湿気が残っていると、カビの再発生につながるため、必ずしっかり乾かしましょう。
||||重曹を使ったカビの取り方
重曹を使ってカビを除去する方法もあります。重曹は消臭効果があるため、カビのにおいが気になる際はこちらの方法をお試しください。用意するものは、以下のとおりです。
- ・消毒用エタノール
- ・スプレーボトル(重曹水用・エタノール用)
- ・重曹
- ・タオル
- ・ドライヤー
1.重曹水スプレーを作って噴射
まずは、重曹水を作ります。200ccのぬるま湯を入れたスプレーボトルに、小さじ1杯の重曹を入れてよく振りましょう。その後、カビの生えた部分に重曹水を吹きかけ、3~5分ほど放置します。
2.カビ部分をふき取る
時間を置いたら、タオルでカビの部分を優しくふき取ります。エタノールを使うときと同じく、強く擦るのではなくトントンと叩くようにふきましょう。
3.エタノールを吹きかける
カビが生えた部分とその周辺に、エタノールを吹きかけます。カビの発生箇所と、その周辺が十分に湿るくらいまでスプレーするのがポイントです。その後、1時間ほど放置しましょう。
4.乾燥させる
タオルで水分を優しくふき取ります。その後は、エタノールを使うときと同様のやり方でドライヤーをあて、風通しの良い場所で自然乾燥させます。
マットレスを処分する方法
マットレスの広範囲にカビが広がっている場合、先程ご紹介したカビを取る方法で解決しないケースもあります。その際は、マットレスの交換も検討しましょう。マットレスを買い直す場合、現在のマットレスを処分する必要があります。以下で、マットレスの処分方法を3パターンご紹介します。
||||粗大ごみとして捨てる
オーソドックスな処分方法は、自治体の粗大ごみとして回収してもらうことです。事前に粗大ごみ処分用シールを購入して処分するマットレスに貼り付け、粗大ごみ受付センターに連絡した指定日に出します。自治体によって、粗大ごみの出し方や処理の流れ、連絡の要否には違いがあるため、管轄の自治体の案内に従って処分を進めましょう。
||||マットレス購入時に購入する店舗に引き取ってもらう
新しいマットレスを購入する際、古いマットレスを引き取ってくれるサービスを用意している販売店もあります。新品のマットレスの搬入と同時に古いマットレスを処分できるため、効率良く処分を進めたい場合におすすめです。マットレスを買い替える際は「引き取りサービスを提供しているか」「回収費用はどの程度か」といった点を事前にチェックしておき、処分を検討しましょう。回収費用は、ショップによって異なるので、事前によく確認しましょう。
||||買取業者に買い取ってもらう
有名ブランドのマットレスをお使いなら、買取業者にマットレスだけ買い取ってもらうのも一つの手です。状態が悪いと買い取ってもらえない場合もあるので、問い合わせをして確認すると良いでしょう。
マットレスの寿命については、下記記事も併せてご確認ください。
マットレスの寿命は?交換を考えるべき身体へのサインとは
マットレスのカビを予防する対策
マットレスにカビを発生させないためには、清潔に使い続けることが大切です。ここでは、清潔に使い続けるための方法をご紹介します。
||||寝室の換気をこまめにする
部屋の空気をこまめに入れ替えることで、部屋にこもった湿気を外に逃して湿度を下げることができます。また、カビの養分となるホコリを外に出すためにも、換気は効果的です。1日に4~5回程度、1回あたり5~10分程度換気するのが良いでしょう。
||||起きたら掛け布団をめくる
起床直後に、掛け布団をめくりましょう。マットレスの上に掛け布団を広げたままだと、就寝中にかいた寝汗による湿気が発散されず、カビが繁殖しやすくなります。掛け布団をめくりマットレスの表面を空気に晒すことで、湿気がこもりにくくなります。
||||シーツは1週間に1回は交換する
マットレス本体だけでなく、シーツや敷きパッドのお手入れも大切です。薄手のシーツや敷きパッドを使っているのであれば、1週間に1度洗濯して交換しましょう。洗濯の頻度が少ないと、カビの養分となる身体の垢や皮脂汚れ、フケなどの老廃物が溜まってカビが発生しやすくなります。
||||ベッドは壁から離して配置
ベッドは、壁から10センチ程度離した位置に配置すると良いでしょう。ベッドと壁が密着していると、マットレスの風通しが悪くなってしまいます。壁から少しだけ離してベッドを配置することで、マットレスの側面やベッド下の空気が流れやすくなり、湿気がこもりにくくなります。
||||マットレスを定期的に干す
マットレスを定期的に陰干しして、内部にこもった湿気を逃しましょう。陰干しする頻度としては、1~2週間に1度程度がおすすめです。梅雨や夏場は、扇風機で風を送るのもおすすめです。なお、天日干しするとマットレスの生地が傷むおそれがあるため、陰干しで対応しましょう。
||||マットレスを床に直置きしない
マットレスを床に直接置くと、湿気が逃げにくくなりカビが発生しやすくなります。ベッドフレームの設置が難しければ、マットレスと床の間にすのこを設置して風の通り道をつくりましょう。更に、すのこと除湿パッドと組み合わせて使うことで、より風通しの良い環境をつくれます。
||||ベッド下を掃除する
ベッドの下はこまめに掃除しましょう。ベッドの下は、目につきにくく、掃除もしにくい部分です。ホコリだけでなく、布団・衣服などから出た繊維くずや身体の垢、フケ、髪の毛なども溜まりやすいため、カビの原因となります。1週間に1度を目安に掃除しましょう。
カビを防ぐマットレスの選び方とは
マットレスのカビ対策として、カビの生えにくいマットレスを新調するという手もあります。カビが生えにくいマットレスの選び方は、以下のとおりです。
||||通気性の高いマットレスを選ぶ
湿気がこもらないよう、通気性に優れたマットレスを選びましょう。たとえば、高反発ファイバータイプやスプリングタイプのマットレスが挙げられます。高反発ファイバータイプのマットレスは樹脂素材でつくられているため、空気が通りやすい構造となっています。スプリングタイプのマットレスは、内部にコイルスプリングが仕込まれているため、通気性が高いです。
||||持ち運びしやすいマットレスを選ぶ
大きく重量のあるマットレスだと、頻繁なお手入れがしづらいケースがあります。軽くて持ち運びやすいマットレスを選べば必要に応じて陰干ししやすくなり、ベッドの下の掃除もスムーズに行えます。おすすめなのは薄い軽めのマットレス。起床後は立てかけておけるため陰干ししやすく、湿気を逃しやすいつくりになっています。
||||防カビ仕様のマットレスを選ぶ
防カビ仕様のマットレスを選ぶのも良いでしょう。ここでいう防カビ仕様マットレスとは、湿気がこもりにくく風通しに特に優れ、カビが発生しにくい環境をつくる構造のマットレスです。また、マットレスや布団に使われるポリエステルにも注目します。ポリエステルのなかには、防カビ加工が施されたもの、湿気がこもりにくく清潔に保ちやすいものなどもあります。
パラマウントベッドが提供する「スマートスリープ ベーシック」「スマートスリープ ライト」は、防カビ仕様を施したマットレスです。「スマートスリープベーシック」は3層からなり、やわらかなトッププレイヤー、体型に合わせてフィットするミドルレイヤー、沈み込みを抑えるボトムレイヤーとやわらかさと全身をしっかり支える安心感が両立したマットレスです。エントリーモデルの「スマートスリープライト」は、身体の部位に合わせてマットレスの硬さが異なる設計となっています。いずれも防カビ使用が施されているため、長く清潔につかっていただきやすいマットレスです。詳細は以下ページよりご覧ください。
スマートスリープ ライト【シングル(97幅)】
スマートスリープ ベーシック【シングル(97幅)】
清潔な環境で快適な睡眠を取るために
毎日長い時間を過ごすベッドは清潔に保ちたいところです。マットレスのカビを防止するためには、日々のお手入れや部屋の湿度調整を根気良く行うことが大切です。また、マットレスを新調する際にはカビが生えにくい仕様のものを選ぶのも良いでしょう。ご紹介したスマートスリープシリーズをはじめ、パラマウントベッドでご提供しているマットレスは以下よりご覧ください。
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